ペーニャ・フラメンカ「Fernando Terremoto」

ペーニャ・フラメンカ「Fernando Terremoto」

先週末の土曜日、ヘレスのセントロから少し離れた所にあるペーニャ「Fernando Terremoto」へ行って来ました。Terremoto(テレモート、地震の意味)はすでに亡くなった歌い手で、ヘレスを代表する人の1人です。
中に入るとバルとサロンがあり、彼の大きな写真が目をひく。バルにはすでに人だかりが出来ていて、知人たちとのお喋りにいそしんでいる。ビールを頂戴、とバルで頼むと「とびっきり冷たいやつだよー!」とビールが飛んできた。瓶を触ると手が痛いほど冷たくて、声を出して驚いた。バルのおじさんはあははー、と笑っていた。
まだ開演でに時間があるので、相席をお願いして椅子に座る。目の前の女性はどこからどう見てもテレモートにそっくりだ。失礼ながらチラチラ顔を見ながらビールを飲んでいると「フラメンコ好きなの?誰が好きなの?」と相棒に話しかけてくる。聞けばやはりテレモートの娘だという。「私、お父さんにそっくりなのよねー。hernano(兄弟、同じく歌い手であったがすでに故人)はお母さんに似てるんだけどねー。」ホントに父親と同じ顔。歌い手は誰が好きかとか、ブレリアを踊ることとはとか、色々な話をしてくれた。フラメンコはまさに生きていると感じる瞬間。
この日はエセキエルの公演。新しいアルバムを出したばかりの彼は丁寧に心を込めて歌う。時に力強く、時に軽快で心地よく時間が過ぎる。そして最後に客席から一人の女の子が舞台に上がる!5歳くらいだろうか。マイクの前に立つと「Pa todo ustedes!(ここにいる皆さんに!)」なんていっぱしのことを言う。歌い出して驚いた!なんという声、そしてコンパス。会場からは「Ole!」の嵐。最後には踊り出した彼女。観客はみんな笑顔で喝采した!ヘレスではよくこのような光景を見る。小さな子供が食い入るように歌に聞き入っていたり、ちょっと踊った1振りがとんでもなく素敵だったり。
やはりフラメンコは生きている。生き生きとしたその姿は、確実に次の世代へ受け継がれている。