食べ物散歩

2016122817521.JPG旅の楽しみの一つは商店街散歩。その土地の食べ物、素材を見て歩くのは何もよりも面白い。出来れば町の中に入りこんだ商店街であればあるほど面白い。残念ながら今は商店街が激減傾向で、明らかにスーパーに押されている。しかしながら今回はいくつかの地元商店街を歩くことが出来た。

20161228171859.jpgまずは同志社大学から歩くこと数分。にぎやかな商店街に到着。年末ということもあり、色とりどりの旗が掲げられ、店々は声をあげてお客を呼び込む。良い匂いに誘われて鼻を向けると、そこには「かしわ」専門店。鶏肉を「かしわ」と呼ぶのは、関東人にとっては少し格好よく感じるのはなぜでしょう。店頭で売られていた若鶏きも煮を100グラムお願いする。あら、美味しい。

商店街を進むと乾物屋さん。立派な丹後の黒豆が並ぶ。自分で黒豆を炊くのであれば絶対に買うのになぁ、自分じゃやらないなぁと思いながら、羅臼昆布を購入。「これは美味しいわよ!!」とお店のおかみさん。そうでしょう、そうでしょう。見るからに良いお出汁が取れそうです。そして次なる探検は小さなスーパー。どう見ても野菜メインのお店。聖護院大根、祝い大根、堀川ごぼう、かぶら。。どうしようかなぁ、買おうかなぁと悩んでいると「大丈夫!持って帰れるよ!エコバックも持ってきた!」と亮君。よし!買うぞー!と勇んで野菜を購入。幸せはずっしりとしていた。

次の日はホテル近くの商店街へ。ここは前の日の商店街とは打って変わって、しんと静まり返っていた。お店は開いている。シャッター街ではない。けれども何か空気が止まっている。お店の人もいてお喋りもしている。しかし賑やかさがない。「来る人の年齢も高いんじゃない?午前中だけ来るとかさ。」と相棒。うん、そうかも。

20161228173140.JPG本当に地元の人しか買い物をしてはいけないのではとさえ思わせる空気の中、一軒のお豆腐屋さんを発見。一度通り過ぎたものの、目の端に映った「ひろうす」がどうしても気になる。踵を返してお店へ戻り、ちょっとドキドキしながらおじさんへ声をかける。「すみません、ひろうす下さい。。。」「何個?」「あ、5個お願いします」「はい!」。拍子抜けするくらい爽やかな笑顔でてきぱきと袋に詰める。「あ、おあげさんも1枚。。」「いいよー。この小さいのおまけするね」。まだ緊張気味だった私は「はい!」としか言えない。なのに更に「あ、ごめんなさい、その平揚げも。。」と注文。
「おでんにするの??」。そのつもりはなかったのだが、「あ、そうなの。寒いでしょ?」と答えてしまった。するとおじさんはにっこりと笑って「大根が美味しいよ!」。「そうですね!必ず入れます!」とこちらも笑顔。ありがとう、とお店を離れると後ろから「おおきにぃ!」との声が送ってくれた。

東京に帰ってから、このひろうすを前の日に買ったかぶらと一緒に煮た。まぁなんて美味しいんでしょう。おじさん、おでんにしなくてごめんなさい。でも色んな人の顔を思い浮かべながら、温かく頂戴しました。ごちそうさま。